もりおか史!
2024/7/7
七夕の願いをかなえてくれる織女(しょくじょ=織姫)は、織物が大変上手な仙女でした。だから七夕に叶えてくれる願いごとは本来「手芸の上達」や、そこから派生した詩歌や文章・習字などの「芸事の上達」限定。神様や仙女にも守備範囲があるのです。
写真の資料を見ると、「願糸(ねがいのいと)」という飾りを付けた笹竹の下には、梶(かじ)の葉、硯(すずり)、筆が置いてあります。これらは、芋の葉に溜まった露を集め、その水で摺った墨で梶の葉に和歌を書くことで、詩歌の上達を願う風習を描いたものでしょう。作者の南部信誉(のぶのり)は七戸藩の2代藩主でプロの絵師ではないのですが、作品を見る限り絵の腕前は確かなもののようです。信誉も織姫に、絵の上達をお願いしたのかもしれませんね。
監修 ► もりおか歴史文化館 [WEB]
◤ 資料解説 ◢
「五佳節図」(ごかせつ ず)
「五節句」(年5回の重要な節目)の様子を描いた絵画。人日(1/7)には年始に野の若草を摘み取る「若菜摘み」、上巳(3/3)には「立雛」、端午(5/5)には菖蒲や蓬を編んで五色の糸を結んだ「薬玉」、七夕(7/7)には詩歌や裁縫上達の祈りを込めた「笹竹」、重陽(9/9)には邪気を祓い長寿をもたらす「菊の花」が描かれる。筆者は2代七戸藩主・南部信誉(1805~1862)である。
◎和歌について
呉竹の/はにおく露に/たなはたの/ゆき合の影を/うつしても見む 明子
(竹の葉の上に付いた露に、七夕の(織姫と彦星)の出会いの影を映して見てみたいものだ)
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