特集 郊外へ/はしやすめ「鶴飼橋」
2025/12/12
▼鶴飼と書いて「つるがい」と読む。幕末の動乱期、安政時代の文書に残る流失の記録が最も古い。
▼明治になり、この橋を幾度となく渡ったのが誰あろう石川啄木だ。川上に姫神山。川下には岩手山。なんとも贅沢な取り合わせだが、啄木は特に山影が川面に映る午後4時の鶴飼橋を好んだという。
▼「柳あをめる」北上川を眺め、線路沿いに駅までの道を歌人は歩いた。ショッピングモールができて、道の駅も開業し、町は令和を歩んでいる。けれど啄木が三十一音に込めた景色は、川の水が枯れず、山がどっしり動かないように、今も変わらずここに広がっている。
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