盛岡という星で ThePlanet MORIOKA BASE STATION

盛岡を小さく丸いひとつの星に例えます。今までとは違う角度から盛岡を写し取り、見つめようとするものです。 盛岡を小さく丸いひとつの星に例えます。今までとは違う角度から盛岡を写し取り、見つめようとするものです。

盛岡という星で 盛岡という星で

特集:夏は夜/SOAK

2023/7/26

 SOAK

“SOAK”は、盛岡に住む24歳の筆者が盛岡のバーを巡り、その体験を新たな視点で語る活動です。23歳のとき、大人になりきれない焦りや悔しさを紛らわすように、自分からあえて縁遠い場所に飛び込もうと、初めて盛岡のバーの扉を開けました。その時の感覚は、まさに深海を潜るような神秘的な感覚でした。生まれて初めて耳にする音楽、知らなかったお酒の味…。それら全てが今にも滴り落ちそうなくらいに濃密な文化的体験で溢れ、アルコールと共に私の心へと染み込んでいきました。大人になろうと足を踏み入れたはずのその場所は、気づけは等身大の自分を包み込んでくれるやさしい場所へと変わっていました。こうして私は、すべてのバーに共通して感じた「浸る」という要素から、その意を持つ英語の“SOAK”を活動やZINEの主題として名付けました。


 

やばい、わからない。ベースのお酒も、アルコールの度合いもさっぱりわからない。これはもう、印象で選ぶしか無い。横文字のものは大抵得体がしれないからやめておく。馴染みの日本語を指先で探すと「雪国」と「青い珊瑚礁」に目が留まった。脳内で情景が、舌先で味のイメージが浮かぶ。逆三角形の繊細なグラスがテーブルに運ばれてきたとき、初めてバーに存在しているという実感が湧いた。

 

空腹に強烈な酒では死んでしまう。胃袋の余白を埋められそうな「エスパニアスパゲティ」(スペイン風のスープパスタ)を注文する。朱色のスープを湯気と一緒に頬張ると、魚介の味とトマトの酸味が染み込んでいた。ああ、飲む至福、飲む天国。パスタを食べ終えた後も未練がましくお酒とスープを交互に啜っていた。ここはまさに、酒弱人類の天国。

 

 


〈協力〉

SOAK
現役クリエイターから企画編集・情報発信について学び、作品作りに取り組んだ、盛岡という星で(編集部)インターンシッププログラム第二期。ZINEを制作するゼミから誕生した作品です。

すぺいん倶楽部
盛岡市大通1-7-13 シグナスビル3F


Photo,Text: SOAK

 

 

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