盛岡という星で ThePlanet MORIOKA BASE STATION

盛岡を小さく丸いひとつの星に例えます。今までとは違う角度から盛岡を写し取り、見つめようとするものです。 盛岡を小さく丸いひとつの星に例えます。今までとは違う角度から盛岡を写し取り、見つめようとするものです。

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もりおか史!

2025/4/30

||◤#09 「味噌大根」は御国言葉 ◢||

 

✤ 「味噌大根」ってご存じですか? 盛岡周辺では大根を味噌に漬けた漬物のことをいいます。春になると盛岡でよく作られる「うこぎのほろほろ」※の材料の一つでもあります。炊き立ての白米に乗せて食べると最高に美味しい春の味覚で、ご近所さんの生垣にうこぎの新芽を摘ませてもらったりと、隣近所との交流も含めて盛岡の春の風物詩です。

✤ 盛岡ではお馴染みの「味噌大根」は、実は方言で、江戸時代の資料にも記されています。お伊勢参りなどの旅行の携行品として推奨されていたり、また7代盛岡藩主南部利幹が最期に味噌大根を添えた湯漬け(湯をかけたご飯)を食べて亡くなったという逸話も残されています。

✤ 江戸時代には、「味噌大根」のような方言のことを「御国言葉」といいました。特に「御国」=盛岡の言葉や風俗を大切にした8代盛岡藩主南部利視は、江戸で「御国言葉」を笑われても取り繕わず、「御国言葉」を守り失わないようにせよと家臣に命じています。
失われないように今年もまた「味噌大根」を入れて「うこぎのほろほろ」を作ろう。

※「うこぎのほろほろ」については、特集「まちの植物学」/うこぎのほろほろという呪文(2024/7/25)参照のこと

 
監修 ► もりおか歴史文化館 [WEB
 
 
 
 

◤ 資料解説 ◢

「盛岡藩家老席雑書」寛保元年(1741)1月13日条

寛永21年(1644)から天保11年(1840)まで歴代の盛岡藩家老によって記録された191冊からなる政務日誌で、盛岡藩の政治・経済・文化・宗教などあらゆる分野にわたる内容が記録されている。寛保元年1月13日条には、江戸や他国の言葉や風俗がもてはやされる風潮を憂いた8代盛岡藩主南部利視が家臣へ出した命令が記されている。