もりおか史!
2025/1/22
✤ 裸に鉄砲を持つ侍。草でできた盾に身を隠しながら二羽の鴨を狙う。
✤ 何ともユーモラスな侍が描かれていますが、実はこれ、鉄砲の撃ち方の極意が記された秘伝書なのです。本来ならその技を取得していない人間は見ることが許されない、他見他言無用のもの。独自の砲術の流派を開いた5代盛岡藩主南部行信(1642~1702)は、砲術の極意をこのような絵入で解説し、盛岡藩士や南部家に伝えました。
✤ 江戸時代、南部家をはじめとする大名家では、江戸幕府が定めた規則「武家諸法度」によって、学問と武芸の稽古に励んでいました。南部家では、10歳ぐらいになると学問と武芸の師範に従って日々取り組むようになります。
✤ 南部行信は、学問や芸事のなかでは特に能楽を得意とし、4代江戸幕府将軍徳川綱吉の前で舞を披露したほどでした。また、武芸では、先ほどの砲術に加えて馬術でも自ら流派を開いています。歴代の殿様のなかで、文武両道を実践した殿様の一人でした。
監修 ► もりおか歴史文化館 [WEB]
◤ 資料解説 ◢
「心的妙化流砲術書」(しんてきみょうかりゅうほうじゅつしょ) 南部行信(なんぶゆきのぶ) 江戸時代中期
5代盛岡藩主南部行信が独自に創始した「心的妙化流砲術」の秘伝書。鉄砲の扱い方、鉄砲の種類ごとの飛距離や火薬量などが解説されている。そのうちの1巻には、この当時まだ軍事訓練の一環でもあった家臣一同による狩りが頻繁に行われていたためか、動物の生態に応じた鉄砲の撃ち方なども記されている。手足の位置を正確に理解させるために、人物は裸体で描かれた。
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